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NPOの時代

阪神大震災を契機に生まれたNPO法

某大手企業では定年間近い人たちの退職後の進路について、辞めるか、関連会社で働くか、NPOに行くかの3つを提示し、その決断に応じてサポートを行うという。第2の人生の選択肢として、NPOでの活動が特別なことではなくなっているのだ。

NPOとはNon-Profit Organizationの略で「特定非営利活動法人」と呼ばれる。民法で規定される公益法人も広義ではNPOに含まれるが、一般的には、市民活動やボランティア活動を実践している団体を称する。内閣府では、「継続的、自発的に社会貢献活動を行う、営利を目的としない団体の総称」としている。

例えば、難民支援を行っている『日本UNHCR協会』や医療・人道支援を目的とした『国境なき医師団日本』などが、日本のNPO組織として世界規模のボランティア活動を実践して有名だが、いまや草の根的な活動を展開するNPOは枚挙にいとまがなく、日本UNHCR協会多種多様な社会貢献を行っている。

日本でNPOの存在が本格的に注目されるようになったのは、6000人以上が亡くなった1995年1月の阪神・淡路大震災の時だといわれる。震災時、行政の救援作業が思うように進まない中、全国各地から駆けつけたボランティアグループが、生活必需品・食糧など物資の供給や医療補助、行方不明者の捜索活動、募金活動等に協働してあたり、被災者支援に目覚しい力を発揮した。これを契機として、福祉、環境、国際協力、まちづくりなど様々な分野にわたる市民グループの機動性に富んだ活動があらためて見直された。そしてこうした動きをより根づかせ活性化させようと1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が成立、さらに2003年には改正NPO法が施行された。

NPO法では、民間任意団体が法人格を与えられることで、社会的な信用を獲得。銀行口座の開設や事務所の借用など各種の法律行為を行いやすくした。NPOの設立に際しては、営利を目的としない活動であること、構成員が10人以上であること等が要件として定められているが、申請手続きは比較的簡易で、その代わりに設立後の活動情報の公開が義務化されている。事前の規制を緩やかにし、事後チェックを厳しくする社会の流れと合致するものだ。

NPOの命「ミッション」

島田恒著『NPOという生き方』では、NPOの存在意義とあるべき姿が詳述されている。

産業革命以後の資本主義社会の進展は、経済的豊かさという恩恵をもたらしたが、一方で「あまりにも経済」と呼ぶべき病理をはらむようになった。企業は利潤追求を最優先するあまりに人間を尊重することや社会への責任をないがしろにしがちだ。貧しい人々に安くて栄養豊かな酪農製品を提供しようというのが雪印乳業の創業者の志であったが、儲け優先主義によって取り返しのつかない不祥事を起こしてしまったのが一例である。

一方、行政にも限界がつきもの。市民生活に必要な道路や公園、消防、警察機能などの公共財、さらに準公共財といわれる医療、福祉、教育、芸術などの領域については、主に行政が整備する役割を負っているが、税金でまかなうために、どうしても市民の平均的な要望に沿ったものになりがちだ。

行政にも民間にも欠落するすきまを埋め、独自に多様な要求に応えサービスを提供しうる存在がNPOであるという。そして「営利を目的としない」NPOにとって、社会や人々に具体的にどのような目的で貢献するのかという固有のミッション(使命)こそが生命になる。

2007年以降、団塊の世代の大量退職が見込まれている。時に意にそぐわない仕事も強いられてきた会社生活を終え、それぞれ培ってきた経験を生かしながら、シニア層がNPOを新たな自己実現の場とするケースが増えそうだ。

NPO法人の活動分野
保健、医療又は福祉の増進
社会教育の推進
まちづくりの推進
学術、文化、芸術又はスポーツの振興
環境の保全
災害救援
地域安全
人権の擁護又は平和の推進
国際協力
男女共同参画社会の形成の促進
子どもの健全育成
情報化社会の発展
科学技術の振興
経済活動の活性化
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援
消費者の保護
上記活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助

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