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江戸文化歴史検定(江戸文検)

精神のゆとりを「粋」と感じた江戸庶民

下咽頭がんのため、2005年7月に46歳で亡くなった文筆家の杉浦日向子氏は、1980年に吉原を舞台にした「通言室之梅(つうげんむろのうめ)」をコミック誌『ガロ』に発表し、風流江戸雀漫画家デビューした。その後、一貫して江戸庶民の暮らしを描き続け、江戸文化の情趣溢れる個性的な作風と緻密な考証で高い評価を獲得していく。

1988年には『風流江戸雀 』で文藝春秋漫画賞を受賞するものの、34歳の時に「隠居宣言」し、漫画家を廃業する。「江戸風俗と関わる時間を増やしたい」という理由だったが、その実、血液系の難病に冒され、仕事を減らさざるを得ないやまれぬ事情もあったようである。

ただし隠居といっても、悠々自適で過ごす「本隠居」ではなく、週に3日だけは仕事をする「素(す)隠居」と本人は称していた。NHKのTV番組『お江戸でござる』の収録以外は決まった予定を入れないで、腕時計も持たず、衣食住のすべてをつましいものに変える代わりに、好きな日本酒とそばはたっぷり味わい、自由時間を最大限確保して、その日その日のハプニングを愉しむ生活を送っていたという。それはまさしく、貧乏で時にナマケモノでありながらもさまざまな遊びに興じ、精神的にゆとりある日常が「粋」とされた、江戸時代の長屋に暮らす庶民の生活を手本にしたものであったようだ。

江戸時代では、男は40代で早々に家督を息子に譲り、気ままな隠居生活に入るのが普通だったといわれるが、江戸文化の研究者田中優子法政大学教授は、「隠居人が江戸の実際の文化を作っていった」「それは“真剣な遊び”の精神状態の中にいつもいたから」「低成長時代には“隠居文化”の豊かさが欲しい」と述べている。

生涯現役が尊ばれる現代日本。まして働き盛りの人にとっては、隠居など無縁のことのように思えるだろうが、杉浦氏は「晴れ時々隠居」という、一日の中で仕事や家庭から一段降りて、最優先したいものは何かを考える時間を持つ生活を提案していた。そのために、できれば「家族も知らない三畳一間の隠れ家を町中に持つこと」を勧めていたのが面白い。

それにしても、杉浦氏の江戸の芳香漂うイラストと軽妙洒脱に綴られた薀蓄本を一冊でも読めば、江戸風俗に興味そそられ、江戸を好きになることうけあいである。月並みなことばだが、その早過ぎる死が惜しまれてならない。

江戸文化歴史検定(江戸文検)の概要

ところで、2006年秋より江戸の文化や歴史の広範で高度な知識をチェックし、資格として認定する江戸文化歴史検定(江戸文検)が開始された。人々が伸びやかに生き、環境にも優しいエコロジー社会を形成していた江戸を知ることで、現代に生かせる有意義なヒントを発見できるとして、江戸東京博物館を主体とした江戸文化歴史検定協会が主催するものだ。

受験資格

制限なし。

試験日程

●試験日:11月上旬 ●申込期間:7月上旬〜9月下旬 ●結果通知:12月中旬

試験内容

江戸時代の歴史・文化を中心に、様々なジャンルより出題。

1級

試験時間90分。4肢択一マークシート方式と一部記述式(語句・穴埋め式)、問題数100問。公式テキスト上級編『江戸博覧強記』の中から約5割を出題。80%以上の正解をもって合格とする。

2級

試験時間90分。4肢択一・マークシート方式、問題数100問。公式テキスト初級編『大江戸見聞録』の中から約5割を出題 。70%以上の正解をもって合格とする。

3級

試験時間90分。4肢択一・マークシート方式、問題数100問。公式テキスト初級編『大江戸見聞録』の中から約5割を出題 。70%以上の正解をもって合格とする。

ホームページ

江戸文化歴史検定協会

江戸文化歴史検定協会

一日江戸人

一日江戸人 ■著者:杉浦日向子 ■出版社:新潮社 ■サイズ:文庫/264p ■発行年月:2005年04月▼江戸美人の基準、三大モテ男の職業、衣食住など、江戸の人々の暮らしや趣味趣向がこれ一冊でわかる。さらには「殿さま暮らし」は楽かの考察(「将軍の一日」)、大奥の仕組み(「ザ・大奥」)、春画の味わい方(「春画考」)まで。著者の自筆イラストもふんだんに盛り込まれ、居ながらにして気分はもう江戸人だ。 ▼アマゾンレビューおすすめ度の平均: 4.5/5 とにかくいいんすよ/5 江戸ってこんなにいいよ!が伝わる本/4 イラストが豊富で面白い