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国民投票法が国会で成立し、安倍内閣が有識者を集めて、集団的自衛権の行使に係る憲法解釈の検討を始めるなど、施行60周年を迎え憲法論議が高まっている。
改憲か護憲か、議論かまびすしいが、
改憲派が憲法改正を唱える理由のひとつに、現行憲法がそもそも終戦後のアメリカ占領下で、GHQ主導で制定されたいわゆる「押しつけ憲法」であるとの論がある。日本が独立国家として、自主的に定めた憲法ではないとする。
日本国憲法制定の過程をあらためてひもといてみると、GHQによって作成された原案が、現行憲法の核となっているのは間違いない。当初、日本政府は幣原喜重郎内閣のもとで、憲法改正担当の国務大臣松本蒸治が中心となって草案づくりを進めていたが、策定段階でその内容が保守的にすぎるとGHQから否定される。業を煮やしたマッカーサーのイニシアチブによって修正案が作成され、それを無理強いされた形で新憲法は誕生した。
GHQ総司令部民生局長のコートニー・ホイットニーが、このマッカーサー草案を携えて外務大臣官邸に乗り込み、日本側に提示したときの様子はいささかドラマチックに伝えられている。昭和21年2月13日、ホイットニーは、迎えた日本側メンバーの外務大臣吉田茂、松本蒸治、通訳の長谷川元吉、白州次郎を相手に、差し込む太陽を背にした席に意識的に座り、松本案に関する議論を一切封殺しながら、GHQ草案を手渡す。
GHQ案の内容は、それまで日本政府が進めてきた憲法草案の痕跡をかけらも留めていないもので、松本はもとより、豪胆で知られる吉田や白州もそれを目にするや、愕然として顔色を失ったとされる。
一方、護憲派はその支持理由として、9条を初めとした現行憲法が掲げる世界に類を見ない平和主義を挙げる。
憲法9条は、第1項で、戦争の永久放棄を謳い、2項で戦力不保持と一切の交戦権を否定している。諸外国の憲法では、侵略のための戦争放棄は定めても、
自衛のための戦争までも放棄するものはほとんどない。アメリカ主導で制定されたという側面を否定できないとはいえ、平和主義を徹底的に貫いたその規定は、太平洋戦争の悲惨な戦禍と史上唯一、被爆を体験した日本国民の「二度と戦争を繰り返さない」という心からの願いが体現されたものだったといえる。
しかしながら、冷戦崩壊後も続く国家間の緊張の中、有事対応や国際貢献との絡みで、解釈論だけでは対応しきれない現行憲法の課題が浮き彫りになっている。
国会で憲法改正案が提出され、衆参両院とも3分の2以上の賛成をもって可決されると、国民投票に付される。国民の過半数が賛成すれば、いよいよ新たな憲法が誕生することとなる。国民投票法の定めにより、それは少なくとも3年以上先の話になるが、現実味を帯びてきた憲法改正を前にして、国民一人ひとりが憲法について認識を深める必要がある。
■著者: 青柳恵介
■出版社: 新潮社
■サイズ: 文庫
■ページ数: 220p
■発行年月: 2000年08月
▼内容(「BOOK」データベースより):
日本国憲法誕生の現場に立会い、あの占領軍司令部相手に一歩も退かなかった男。常に活眼を世界に注ぎつつ、わが道を行く天衣無縫の気概。物事の筋を通し、自説を枉げぬ強靱さ。と同時に、内に秘めた優しさ、しなやかさ、ユーモア。端正な面立ち、洒落た身なり、寸鉄の片言…。正子夫人をはじめ、この男に魅せられた人々の「証言」から蘇える「昭和史を駆けぬけた巨人」の人間像。▼アマゾンレビューおすすめ度の平均:
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